シリアの友人を巡る旅

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2020年も残りわずかとなりました。

例年であれば年末年始の長期休暇を利用して、シリア国外へ避難した友人を訪ねていたのですが今年は新型コロナウィルスにより渡航することができず断念。

私たちは世界に見捨てられた

という言葉をきっかけにこの旅を始めました。

物やお金の支援は生きるために重要ですがそれは私でなくてもできる。でも彼らの不安や世界から取り残されているという心の支援は私にしかできない、と思ったからです。

友人にとって私は接した数少ない外国人の一人。
メールや電話などで連絡を取ることはできますが、面と向かい、触れ合い、お互いの温度を感じながらの会話は言葉以上に伝わるものがあります。

今年は行くことができませんが、過去の旅を振り返り国外へ避難したシリアの人たちの様子をお伝えできればと思います。

2012年~2013年:レバノン、ヨルダン、トルコ

村の友人、アカラムを訪ねました。アカラムは隣に住んでいて、ご飯だったり、お茶だったり何かと声をかけてくれた一番多くの時間を過ごした友人です。アカラムが住むのはベイルート郊外の山岳部にある小さな町、アレイ。小さな部屋で同じ村の友人数人で生活していました。3年ぶりの再会でしたが悲壮感など全く感じさせず、まるで昨日別れたかのように一緒にお茶を飲み、水たばこを吸いながらバカ話に花を咲かせました。このころはここまで状況が長引く…とは誰も思っていませんでした。

甘いお茶に懐かしの紅茶グラス。この味とグラスがシリアを過ごした人間にとってはたまらなく郷愁を誘います。

寝そべりくつろぎながら友人と過ごす時間はシリアとかわらぬ風景。

レバノンが誇る世界遺産バールベック。初のレバノンも満喫しました。

2014年~2015年:トルコ

村の友人、ムハンマドを訪ねました。ムハンマドはトルコで奥様を見つけ結婚しました。少しですが結婚祝いも持っていきました。当時はトルコのシリア難民支援団体で働きながら僅かながらの収入を得ながら生活をしていました。今はでは子どももいてトルコで幸せに暮らしています。

一緒に食べたシリア料理。シリアで食べたそのままの味でした。

2015年~2016年:アメリカ

スウェーダの同僚、ヨーセフを訪ねました。彼は難民というより、研究者としてニューヨーク郊外の大学に勤めています。協力隊の活動、そしてその後の草の根技術協力事業では最もお世話になり最も尊敬、信頼できる人です。職場にも連れて行ってもらいました。いつかまた一緒にシリアのために仕事をしよう、というのが彼との約束です。

自宅ではシリア料理を教えてくれました。


一緒に作ったシリア料理。絶品です。

これも懐かしのひまわりの種。シリアのおつまみみたいなものです。種とお茶と水たばこがあれば何時間でもいけます。

2016年~2017年:オランダ、ドイツ

アカラムを訪ねました。レバノンからはオランダに移り、家族と一緒に生活をしています。比較的しっかりした支援を受けられているそうで生活に困ることはなさそうでしたお互いの近況を話し、シリアの村の状況や友人の様子を教えてもらいました。ロッテルダムなどオランダに点在する村の友人も紹介してもらい再開することができました。そしてドイツではJICAシリア事務所でお世話になったはいダールを訪ねました。ハイダールは家族をシリアに残しドイツに渡り、生活の基盤を整えているところでした。とても頭がいい人なのでドイツ語も話し、周りのドイツ人ともうまくやっているようでした。

今ではみなスマートフォンを持っていて、国外にいる友人とも繋いで語り合いました。

町にあるシリア人がたまる床屋。店内で飛び交う言葉はすべてアラビア語でした。

ロッテルダムに住むムハンマド。彼は肉屋で作ってれた料理もおいしかったです。

ドイツのハイダール宅にて。ハイダールは友人と小さなペンションでルームシェアをしていて、ドイツで先に生活基盤を作り家族を呼び寄せる予定だそうです。近くのドイツの友人宅へも案内してくれ、近隣とはとても良好な関係を築いていました。

2019年~2020年:レバノン

レバノンでシリア難民支援を行っている日本のNPO法人パルシックの活動見学をさせてもらい村の友人、ムハンマドを訪ねました。 パルシックは山岳部に点在するシリア難民キャンプ支援をしていて、活動そのものは見学できませんでしたがシリア難民キャンプは遠くから見せてもらいました。ムハンマドに合うのは2013年以来。当時は仲間とともに生活してましたが、今では仲間はレバノン国外へ移動し、ムハンマドは奥様、子どもと3人で暮らしていました。清掃の仕事を見つけてわずかながらの収入は得ていたものの生活は困窮し、レバノンを脱出するか、シリアに戻るかを考えているとこのこと。

昨年はレバノンでも大きなデモが発生していて、ベイルートでは破壊された店も目にしました。

レバノンのシリア難民キャンプは小さなコミュニティが点在していてるため支援が十分に行き届かないとのこと。また冬は強烈に冷え込むため越冬が大きな課題とのことでした。

ムハンマド宅にて。シリアの定番家庭料理、マグドゥース(ナスのオイル漬け)をいただきました。

2020年最後に。そして2021年へ。

2020年は新型コロナウィルス一色で個人的にも大変な一年であり、なかなかシリアへ目を向けることは減ってしまいましたが、無理せずできる範囲で支援は続けていきたいですし、こうして情報も発信していきたいと思います。

難しいことはわかりませんし書くこともないと思うので、シリアってこんなところなんだ、シリア人ってこんな人なんだ、こんな支援の仕方もあるんだ、みたいに気軽に読んでいただけると嬉しいです。

更新頻度は高くはありませんが2021年も末永くお付き合いいただきますようよろしくお願いします。

それでは来年も皆様にとって良い年でありますように。

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