歴史と伝統の違いとは。何を後世に残すべきか…

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執筆:2009年8月15日
※青年海外協力隊で活動していた当時のブログから記事を移行しています。


「日本は発展した国だが伝統も残っているところがすごい。」

ワーエルの従弟が日本に行った時の感想だそうで、ワーエルも「お前の話を聞いていると俺もそう思う。」と従弟の感想に同意していました。「シリアもでしょ?」と言いたいところですがそうではない、というのがワーエルの意見でした。

発展により失われる伝統

それを聞いたとき私の頭の中には「日本ってそんなに伝統が残っているのだろうか?」「ワーエルにそんなに日本の伝統のことを話したっけ?」という二つの疑問が同時に浮かびました。私が話した中でワーエルが一番面白いと思ってくれたものは「女性の着物の話」だそうです。確かに以前

「日本には着物という伝統的な衣装があり、未婚の女性は袖の長い着物、既婚の女性は袖の短い着物を着るんだ。」

ということを話したことがあります。それがワーエルにとっては興味深かったそうです。他に話したことと言っても覚えていません。逆に私が

「シリアにだって伝統はたくさん残ってるじゃないか。」

と言うと

「シリアは今発展しようとしている国だ。でもその代り伝統はどんどん失われている。」

との答えが返ってきました。これは意外した。シリアにはダマスカス旧市街をはじめ古い建物がたくさん残っています。でもこれらはワーエルに言わせると

「歴史的価値はあるかもしれないが伝統ではない。」

とのこと。なるほど。確かにそう言われてみればわからないことはない。ダマスカス旧市街の古びた建物や街並みを見て、ダマスカスは伝統が残っていると単純に思っていましたが、それを伝統かと言われれば確かに疑問です。

伝統とは何か?

じゃあ、伝統とは何か?

辞書によると…伝統とは、民族・社会・集団の中で、思想・風俗・習慣・様式・技術・しきたりなど規範的なものとして古くから受け継がれてきた事柄。また、それを受け伝えること。

少し難しいですが、まず伝統として挙げられるのは宗教でしょうか。やはり。シリアのイスラム教、キリスト教、日本の仏教、神道も古くから受け継がれているという点では伝統の代表格だと思います。

他に伝統的なものといえば…

そういえば伝統という言葉はよく「伝統的~」という風に使われます。伝統的音楽、伝統的衣装、伝統的踊り、伝統的料理のように。辞書では思想や習慣も伝統の一つと説明されています。

ということは、挨拶の仕方一つとってもそれは伝統的なものだ、といえるわけです。でもそういうものは普段、伝統的なものとして意識することはありません。 私の中で「伝統的なもの」といえば「少し日常と離れたところにある何か特別なもの」、「その集団特有のもの」というイメージがあります。一般的にもそうじゃないでしょうか。

後世に残すべきものとは…

話は戻りますが、ワーエルの

「シリアは発展しようとしてる国だが、伝統は失われている。」

という発言。ワーエルはそれが残念なことだと思っているようですが、私は発展過程で古いものが淘汰されていくのはある意味自然なことじゃないかと思ってます。かつて日本だって発展途上中、多くの伝統というか古い習慣、しきたりなどが失われたんじゃないかと。

それでも淘汰されずに残っているもの。そられはきっと自分たちのアイデンティティを喪失しないため、先人が選びぬいて私たちに受け継いできているのではないでしょうか。そういう意味ではシリアは今、発展すると同時に自分たちのアイデンティティを再確認する時期にいるんじゃないかと思います。何を後世に受け継いでいくか。本当にそれが憎しみではなければいいな…と思います。

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