シリアやアラブ周辺で使われている言葉や物・コトなどをご紹介していきます。
※私の体験をもとにした主観的なものであり、また2007年~2009年の時点の状況にもとづいた解説だということをご理解のうえお読みください。
シリアの首都はダマスカスですが、別名というか、通称というか、シリアの人たちはダマスカスとは呼ばず「シャーム」と呼びます。さてそれはなぜなのか。そしてどんな使われ方をするのでしょうか。
目次
そもそも「シャーム」とは?
シリア地方を指す場合とダマスカスのことを指す場合の2種類あるとのことです。
歴史的シリアとは?
現在のシリア、イラク、レバノン、ヨルダン、パパレスチを含む地域を「歴史的シリア」と呼ぶそうです。そもそもこの地域は古代から様々な国の侵略をうけ、統治者が変わってきましたが、現在の国境がひかれたのは第一次世界大戦後のフランス、イギリスによるものです。オスマン帝国領だったこの地を第一次盛会大戦後にフランスとイギリスで国境をひき、委任統治という形でしばらくは統治していましたが、のちにそれぞれの国が独立して今の形になりました。なのでこの地域をまとめてシャーム地方と呼ぶそうです。
ダマスカス=シャーム
ではなぜダマスカスのことをシャームと呼ぶのか。ダマスカスがこのシャーム地方の中心だったということが有力です。普段の生活でダマスカスのことを言うとき、書きではダマスカスと言いますが、会話ではシャームと言います。ダマスカスとはまず言いません。村にいてもダマスカスに行くときはシャームに行くといいます。
シャーミー、シャーミーエ
ですのでダマスカス出身の人をシャーミー、シャーミーエと読んだり、方言でもダマスカス方言をシャーミーエと言います。
また、シャームという言葉は、旧約聖書に書かれているノアの次男ハムの国に由来し、美を象徴する意味を持つそうです。
ダマスカスが古くから重要な場所であるということをシャームという言葉が意味しているんだ、と思うととても誇らしく、個人的にはその響きも好きでした。ガラージュなどセルビスの始発地点。ダマスカス行のセルビスの運転手は「アッシャーム!アッシャーム!」と大声で叫びお客さんを呼びます。慣れないうちは本当にダマスカスに行くのだろうか…と不安でしたが、慣れると私も自然にダマスカスと呼ばなくなり、シャームと呼ぶようになっていました。