執筆:2009年6月27日
※青年海外協力隊で活動していた当時のブログから記事を移行しています。
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珍しく曇り空のシリアの朝。そういえばここ3ヶ月雨が降っていません。今日はスルガヤのりんご農家、アブーアリーの家に行ってきました。
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農家を訪問する機会というのはほとんどなく、スルガヤのりんご農家を訪問するのは実は初めてです。 約束の時間は朝10時。スルガヤは同じルーラル・ダマスカス県内なのですが、ハランからだとセルビスを4本乗り継ぎ2時間30分近くかかります。ハラン→ダマスカス→ガラージュ・ソマリーエ→ザバダーニ→スルガヤという乗り継ぎです。最初は大変だったものの、 本数もそこそこあるため待ち時間も少なく、 慣れてしまうそこまで苦でもありません。
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さて、今夏の訪問でシリア、特にスルガヤのりんご農家についていろいろ話を聞けました。
まず、経営形態ですが、私は日本に近いなと思いました。単純に小規模家族経営なのか、大規模経営なのか、という違いだけですが。日本のりんご農家は小規模家族経営ですが、シリアも同じで農繁期に人を雇う程度だそうです。 ただ10aあたりの収量を聞いたときはびっくりしました。アブーアリーの畑では10aあたり8t~10tとれるそうです。農業省のデータでは10aあたりの収量は0.7tと書いていたのですが。
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栽培されている品種はゴールデン・デリシャスが最も多く、次いでスターキング・デリシャス。他にも栽培されてはいるようですが、主にこの二つが主要な品種だそうです。 そして使用されている台木は実生台。どうりで強勢樹が多いわけですね。 スルガヤのりんごはロシア、モルドバなど周辺諸国に輸出もされているそうです。
この日も私は青森のりんごの写真を持って行きました。私が青森のりんご紹介に使う写真は、叶内拓哉さんのその名も「りんご」。1年間の生育、栽培管理が写真で見ることができるので紹介には適しています。ただ、被写体の樹形が悪いのがちょっと気になるところではあるのですが。 その本の中に、成り枝にたわわと実ったりんごの写真があります。私はその写真を見せながら、アブーアリーにこの写真についてどう思うか尋ねました。というのは、私はその写真で摘果をしてもこれだけの果実がなるんだ、というのを彼に見てほしかったからです。写真を見て一言「ムンターズ(素晴らしい)!」とアブーアリーが言いました。
それだけじゃ何が素晴らしいのかわかりません。そこで私はすかさず
「あなたの目から見て、この写真の着果量はどうですか?足りないですか?それとも十分ですか?」
と聞くと
「十分だ。」
との答えが返ってきました。
これで足りない、と言われれば望みがないと思っていましたが、十分だ、という答えから、シリアでも日本流の栽培管理が通用するのではないか、と思いました。今回のやり取りで写真で示すことの効果の大きさを知りました。いくら口で説明するよりも、やはり目で見た方が実感しやすいんですね。今後、この手をもっと使ってみようと思います。
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今日もサクランボをたくさん頂いて帰りました。