執筆:2009年7月15日
※青年海外協力隊で活動していた当時のブログから記事を移行しています。
いまさらの話しになりますが、シリアでは日本の技術協力事業として『節水灌漑農業普及プロジェクト( DEITEX:Development of Efficient Irrigation Techniques and Extension )』が実施されており、私のJICAボランティアの要請も実際はその一部。来週から私の配属先で研修が始まるとのことで、準備のため専門家が来ました。
目次
シリアの水について(降水量、水利用など)
そもそもシリアの気候ですがこれは東京とダマスカスを比較したグラフです。
気温についてはシリアは日格差はあるものの、平均気温だけを比べれば東京とダマスカスはほとんど変わりません。実感としては春秋は短いものの、夏は暑く冬は寒くしっかりとした四季があります。
しかしダマスカスの降水量は東京の約1/10。夏はほぼ雨が降りません。それだけシリアにとって水は貴重なもので大事に使っていかなければいけません。
こちらはざっくりとした水消費の内訳ですが、シリアでは8割が農業用水として使われています。これを改善したい、ということで日本からDEITEXプロジェクトが入っているわけです。
シリアの農業、水使用の実態は?
こちらはシリアで一般的に行われている灌漑方法です。こちらでは伝統的灌漑法と呼びますが、井戸や川など近くの水源から水路を作り水を流します。この方法で実際に植物に消費される水分は約2、3割で非常にロスがあります。
水をより効率よく使うための技術がスプリンクラーや点滴を使った灌漑方法、シリアでは近代的灌漑法と呼びますが、この方法で約4割~5割の節水が可能だとのことです。これを導入するためには機材はもちろん、その使い方や適した栽培方法などを伝える必要があり、DEITEXプロジェクトではそういった試験や普及活動を行っています。
シリア人との深い信頼関係
こちらの専門家ですが、DEITXプロジェクト以前からシリアに関わっており約25年になります。それだけにシリアのことをよく知っており、知識や技術もさることながらお人柄もとても素晴らしく、シリア人にとても信頼されています。こわもてのアイマンも専門家が来るときは本当に嬉しそうで、私も早くそんな関係を築きたいなぁ…と思います。