シリアやアラブ周辺で使われている言葉や物・コトなどをご紹介していきます。
※私の体験をもとにした主観的なものであり、また2007年~2009年の時点の状況にもとづいた解説だということをご理解のうえお読みください。
イスラム教ではお酒を禁止されているため、中東・アラブの国々ではお酒がのめないんじゃないか、と思われている人も多いかとは思いますがそんなことはありません。イスラム教徒以外だっているし、イスラム教徒だって…シリアの現状をお伝えします。
目次
地域による違い
飲酒禁止は法律ではないため罰せられることはありませんし、飲む飲まないの判断は基本的に個人にゆだねられています。またシリアもそうですが中東にはイスラム教徒以外にもたくさんいますし、イスラム教徒でも様々な価値観があります。
シリア
まずは国から。シリアは1割がキリスト教徒だと言われており、国教としてもイスラム教を定めているわけではありません。またイスラム教でも様々な宗派があり、厳しい宗派から緩い宗派まで様々です。ただ全体的にみれば厳しめの人が多いため、人前で堂々とアルコールを飲んだりすることはありません。
ダマスカス
そんなに多くはないものの、ダマスカスにはお酒を売っている店、提供しているレストランがあります。飲みたいときはそこで買ったり、日本人同士ではそういうレストランでお酒を飲んだりしていました。ダマスカスには外国の人も結構いるので、アルコールには多少寛容なのかな、と思います。
キリスト教の地域
キリスト教地区やキリスト教徒が多く住む町や村では特に制限がありませんので、普通に売っています。
そのほかの宗派の地域
例えば私がよく行っていたシリア南部のスウェーダはイスラム教ドゥルーズ派の地域。この宗派の人たちは教えにも比較的寛容で、お酒を普通に飲みます。
ハラン(私が住んでいた村)
ハランはダマスカス郊外の小さな村でここにはアルコールは売っていません。なので家で飲みたいときはダマスカスで買ってきます。しかし家で飲むときもいろいろ注意が必要です。例えば保管場所。我が家にも結構シリアの友人が出入りしていて、勝手に冷蔵庫を開けたりします。一度冷蔵庫の中に入れているのが見つかって、別に怒られるわけではないですが、長々と文句を言われたのでそれからはベッドの下に保管するようにしてました。また空き缶空き瓶のゴミも村で出すわけにはいかず、ダマスカスで処分していました。
シリアで買えるお酒
ビール
輸入物もあるのですがシリアでもバラダというビールを生産しています。味はそんなに美味しいとは言えなかったですが。
ワイン
よく飲んだのはレバノン産のクサラというお酒でした。シリアでも生産していますが、シリア産ワインはそんなに記憶がありません。でも中東とワインの歴史は深いんです。古くからブドウの生産が行われ、それに伴いワインも精算されていました。遺跡をまわるとここでワインを作っていたとか、お酒の神様が祭られていたんだ、というところもあるくらいで。
アラック
透明な液体で水を入れると白く濁るアラブのブドウの蒸留酒。とても強くて私は飲めませんでした。
シリア人とお酒
キリスト教徒、ドゥルーズの人とは何度か一緒に飲んだことはあります。またイスラム教徒でもこっそり飲む人がいるのでその人とも何度か…でもベロベロに酔っぱらうことはまずなく、本当にちょっとたしなむ程度です。
アルコールはアラビア語!?
最後に小ネタを一つ。アルコールという言葉ですがこれはアラビア語が由来だとされています。
アル=定冠詞(theのようなもの)
コール=女性がアイシャドーに用いたクフル(アンチモニン硫化物の鉱物由来の黒い粉末)
だそうです。
そこからの変化は諸説あるようですが、クフルの意味が「黒い粉末」⇒「精製してできる細かい粉末」⇒「お酒を蒸留したときにできる細かい粉末」となり、液体を蒸留したときに出来る精製物、つまりお酒となったそうです。