執筆:2009年7月13日
※青年海外協力隊で活動していた当時のブログから記事を移行しています。
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講習会当日。今日はJICAシリア事務所の職員も見に来てくれることになっています。普段はなかなか活動が見せられないのでこれが初めてのチャンスです。なのでもう朝から緊張しっぱなした。
目次
今回はJICA職員も一緒に。
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今日のメンバーも相変わらず豪華。普及局に集合したのは毎度おなじみのウスターズ・サーレヘ、ウスターズ・マンゼルに加え、ルーラル・ダマスカス(2人)、ハマ、ラタキアのファーマーズ・スクールの講師の6人。普及局長に挨拶をして、6人で会場のシャハバに向かいました。
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シャハバでJICA職員と合流して会場へ。会場はいつもの農家の畑なのですが、ついてみてびっくり。今まではなかった仮設テントが用意されていました。JICA職員効果なのか。しかもメンバーがさらに豪華。シャハバ地区の普及局長に加え、スウェーダ県の普及局長まで来ていて、これ以上ないだろうという最高メンバーす。
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講義はいつものようにウスターズ・サーレヘが説明し、自分が補足説明をするという流れです。今日の講義の農家への伝わり具合は60%くらいでしょうか。講義の内容は吟味し、農家にも伝わるであろう内容にまとめたつもりでしたが、それでも難しかったです。それに、夏季剪定も他の栽培管理と強く関わってくるので、そもそも夏季剪定だけ説明するというのが難しい話で、本来は体系的に他の栽培管理との関係も含め説明するべきなのですが、残念ながらそこまでの余裕はありませんでした。
相変わらずまじめなスウェーダの農家!
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しかし相変わらずシャハバの農家はまじめでその分厳しい質問が飛んで来ます。例えば、絵入りりんごのシールについて。今日は最後に絵入りりんごの作り方を説明しました。それは透明なシールにマジックで絵を書いて、袋を剥いだ後にはるんだよ、という簡単なものだったのですが、農家から、「マジックで塗った部分は他よりも温度が高くなる。りんごが痛まないのか?」という質問が飛んで来ました。そう言われればどうなんだろう、と改めて考えてしまう質問です。しかし、今までの経験上、また去年の試験でもりんごが痛んだ、という例は見たことがありません。あるんでしょうか…
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また現場でも、「りんごの着生している位置、方角によって着色具合が異なるんじゃないか?」というこれまた難しい質問です。これもそう言われればそうかも…と考え込んでしまいます。結局どちらの質問も「今までの経験ではりんごは痛まないし着色も方角による差はない。それに今回は試験だからそれも見てみましょう。」ということで話をまとめました。
スウェーダの洗礼~スウェーダ式おもてなし~
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さて、講習が無事終わり帰ろうとしたときです。「飯を食っていけ。」と農家に声をかけられました。
これはシリア南部、特にスウェーダ県特有の習慣だと思っているのですが、シリア人は基本的に家に招待してご飯を食べさせるということをよくします。これはシリアどこでもあることではあるのですが、スウェーダの場合それが半端じゃないんです。 勧誘も他の地域より何倍もしつこいし、もてなし方も尋常じゃありません。JICA職員もかなりしつこく誘われていましたが、仕事があるということでうまく断りました。しかしウスターズ・サーレヘは断りきれず、私も彼についていきご飯を御馳走になりました。
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スウェーダの人の家に行くとまず通されるのが、マダーフェと呼ばれる応接間。30人位は余裕で収まる広さです。
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そして次にカルダモンたっぷりの苦いアラビックコーヒー。ポットとコップをもった人が皆に注いで歩くのですが、これがまた熱くてあまりおいしいとは言いにくい。でも2杯3杯は半強制です。
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まったりしているときに人が入ってくるとまた大騒ぎ。皆立ち上がり、入ってきた人は皆に挨拶して回ります。普段なら全然いいのですが、講習の最中にやられると厄介、講習がいちいち中断してしまいます。
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ウェルカムコーヒータイムが終わると大きな机が次々とでてきました。
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そしてこれからパーティーでも始まるかと思うくらい運ばれてくる大量の料理。
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黙ってると次々と盛られる料理。ギブアップなんて許されません。大げさじゃなく10回くらい断ってようやく解放されます。
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そしてとどめはデザートのスイカ。心なしかみなさんの顔もげんなりです。
台所を見せてもらったら家族総出で準備していました。 お金も時間もかかったでしょうがそれでも帰るときは「今日は十分にもてなせなかった。また来い。」という、本音とも建て前とも解釈し難い挨拶を交わしていました。今こうして講習で各地を回っているとそれぞれの土地柄というものが見えてとても興味深いです。